<実践>発注のための熱間鍛造ガイド

金属部品製造をお考えの製造メーカー担当者様に
熱間鍛造コンサルタントの德田勝也が、
今すぐ役立つ知識やノウハウを解説いたします。

<第17回>一貫生産体制 工法解説

複数の加工会社への分離発注を改め、
一貫生産の加工会社1社へ一括発注することで、
管理コストを削減する方法について解説します

その①:一括発注により管理コストを削減可能

熱間鍛造により金属部品を製造する際には、鍛造加工メーカーはもちろん、鍛造金型製作メーカー、そして切削、表面処理等、二次加工メーカーへの発注が必要となります。

これらの発注作業を、部品発注者様が各加工メーカーへ直接行うと、出来上がってきた部品をその都度検収する必要が生じ、非常に煩雑な作業が必要となります。

そこで、これら全工程が自社内で完結できるか、密な社外ネットワークによって一貫生産できる体制を持つ鍛造加工メーカーに一括発注を行い、検収作業はそちらに一任することをお勧めします。部品発注者様は最終的に上がってきた部品を検収するだけで済み、管理コストを大幅に削減することが可能です。


その②:工程管理が効率化し納期短縮を実現

もし複数の加工メーカーに分離発注すると、加工品を各社の工場間で運搬するだけでも、無駄な時間とコストがかかります。しかし、一貫生産の加工メーカーであれば、タイムと運搬費用はゼロとなります。

そして、一括管理なら、金型製作から鍛造、試作、そして量産工程へ流すまでの工程管理を効率化することができます。各工程やマシンの稼働スケジュールを柔軟に調整し、スキマ時間を活用するなど、前工程の遅れを次工程で挽回することも可能です。

一括発注により工程管理が効率化され、分離発注と比べ、納期短縮を実現することができます。

その③:鍛造・切削工程の一体化で、品質向上が可能

鍛造と切削をそれぞれ分離発注した場合、両者間の連携がうまくいかないケースがあります。例えば、治具やワークを掴む箇所が不適切な場合、製品品質に良くない影響を及ぼすこともあり得ます。

逆に、切削穴の交差箇所でカエリのバリの発生を抑えるためあえて逆の方向から切削したり、 ネジ部分は持たないよう加工順に配慮するなど、連携を取ることで製品の品質向上が可能です。

鍛造・切削工程を一貫生産の鍛造加工メーカーに任せることで、工程間の協力と情報共有の下、高品質なものづくりを実現できます。


まとめ:一貫生産体制の鍛造会社への依頼により、管理コスト削減等が可能

このように、一貫生産体制を有する熱間鍛造会社に依頼する事で、管理コストの削減と納期短縮、品質向上を実現できます。まずは、一貫生産を行っている事業者の中から、最適な発注先候補を探す事から始めてみて下さい。