<第9回>短納期 工法解説
現在、熱間鍛造を短納期化することが
困難になっている環境要因と、
それを解決する方法について解説いたします
困難要因①:金型製作業者が減少している
熱間鍛造には、材料を打つための鍛造金型が必須ですが、現在、その鍛造金型を短納期で仕上げることが困難になってきています。
その1つ目の要因は、国内で鍛造金型を製作する業者の数が減少している事です。2000年に約1万2000社あった金型製作会社が、2021年には約4300社にまで減少したとも言われており、短納期対応が困難になっています。
困難要因②:鍛造金型の材料が品薄である
2つ目は、鍛造金型の材料となる「熱間ダイス鋼」の生産量が減少していることです。その入手に時間がかかります。
困難要因③:熱処理業者が減少している
3つ目は、切削加工機で鍛造金型を削り出した後の問題です。金型表面の硬度を高めるため熱処理を行うのですが、その専門業者の数も減少しているのです。そのため、以前は「中1日」で終わった熱処理が、現在では「中2日~3日」かかるのが通常で、場合によっては金型設計・製作にかかる時間より、熱処理工程にかかる時間の方が長くなっているのが実情です。
解決策①:短納期対応が可能な熱間鍛造会社を探す
まずは、人づての紹介や、ホームページ等で「短納期」を掲げている熱間鍛造会社を探してみましょう。ただし、「短納期」を掲げるだけなら誰にもできますので、それを実現できる理由が明確に説明されているか検証しましょう。チェックポイントは次の3点です。
- 今すぐ依頼案件に着手できる状況にあるか
- 金型や鍛造の材料となる材料を、一定数、常に在庫として持っているか
- 短納期を可能にするための独自工法や生産設備を有しているか
- 短納期であると同時に、品質面においても問題ないか
解決策②:「金型→鍛造」自社一貫の熱間鍛造会社を探す
一番のネックとなる金型業者数不足の問題に対しては、「金型設計・製作から鍛造まで」を自社一貫生産で行っている熱間鍛造会社に依頼することで解決できます。社外の金型業者に出すよりも、社内でスピーディーに対応できるため短納期が可能になります。
解決策③:できる限り早期に承認を行う
発注者自身ができることは限られていますが、受注後に鍛造会社から提出される「鍛造承認図」に対して、できる限り早期に承認を下すことが必要です。
まとめ:戦略的鍛造会社への依頼により、短納期対応は可能
このように、戦略的対応を行っている熱間鍛造会社に依頼する事で、短納期での部品製造は可能となります。まずは、短納期を掲げている事業者の中から、最適な発注先候補を探す事から始めてみて下さい。