<第3回>一体成形化 工法解説
現在複数部品を別々に製造・組立を行っている
部品を、熱間鍛造で一体成形化、コスト削減する
方法について解説いたします
その①:工程削減によるコスト削減について
熱間鍛造による一体成形化。1つ目のコストダウン要因は、大幅な工程削減が実現できることです。
例えば、複雑形状の金属部品や、大型の金属部品を製造する場合、2つ以上のパーツに分けて切削加工を行った上で、溶接やカシメ等により組立を行い、完成させているケースがあります。
これを鍛造によるワンショットでの一体成形に換えることで、切削・組立工程が不要となり、大幅な工程削減を実現することができます。
その②:材料費や部品点数削減によるコストダウンについて
2つ目のコストダウン要因は、材料費や部品点数の削減です。
切削加工では、部品形状により金属屑が大量に発生するケースがありますが、鍛造では材料投入量を必要最小限に抑える事が可能なため、省材料化を実現できます。
また、組立のためのステーやリベット等も不要となるため、部品点数が削減可能です。これにより、部品管理コストの削減が可能となります。
その③:検査の不要化によるコスト削減について
3つ目のコストダウン要因は、一体成形化により部品の継ぎ目がなくなり、気密検査等が不要になることです。
例えばバルブ等では、溶接による継目の部分で流体が漏れるリスクがありますが、鍛造によりボディとフランジを一体化成形することで漏れが事実上ゼロとなります。そのため、気密検査等を削減することができ、製造コストダウンを実現することができます。
まとめ:一体成形化により、20~30%の大幅トータルコスト削減が可能
熱間鍛造による一体成形化により。20~30%の大幅なコスト削減が可能となります。
鍛造一体化を検討する際には、あらかじめ次のポイントに留意しておきましょう。
- ●鍛造を行った時点で、部品が大型化・複雑形状化するため、後工程の切削や研磨等に支障がないかチェックする必要があります。
- ●大型部品の鍛造には、大型のプレスマシンが必要となります。通常サイズの鍛造と比較して1~2割程度生産性が落ちる場合があることは、知っておきましょう。
- ●鍛造一体化によりワークが大型化するため、材料として大口径の丸棒が必要。特に直径の大きな丸棒には「増値」と呼ばれる追加料金が適用され、少々割高になることに留意しましょう。
- ●この際、「なぜそれだけの加工精度が必要か」「どこまで許容できるか」公差(要求精度)を再検討しましょう。場合により、一体成形後の切削工程を削減し、さらなるコストダウンを図ることが可能です。