<実践>発注のための熱間鍛造ガイド

金属部品製造をお考えの製造メーカー担当者様に
熱間鍛造コンサルタントの德田勝也が、
今すぐ役立つ知識やノウハウを解説いたします。

<第10回>短納期 事例

通常工程なら12週間必要なところを、
社内一貫体制により、金型~切削加工まで
トータル4週間で試作品が完成

産業機械の部品試作を行うにあたり
短納期での試作品完成が必要でした。

E社様は、産業機械のメーカーです。
弊社へご相談頂いた内容は、溶接機械で用いる部品の試作についてでした。この部品は、鍛造を行った後、切削加工によって仕上げる流れとなります。

「問題は、従来の完成品の実物は手元にあるものの、形式が古い部品で正確な部品図がありません。どうすればよいでしょうか」というご相談を、E社様から弊社へ頂きました。

そして、
「部品の在庫も不足してきているので、できる限り短期で試作品を仕上げてほしい」
とのご要望も承りました。

実物を基に、弊社で鍛造/切削図面を同時に作成。
業界最速レベルのスピード生産を実現しました

そこで、中野鍛造所では、実物を基に鍛造図面・切削図面を同時に作成。通常は、鍛造工程が完了した段階で、切削図面の作成に着手しますが、弊社では、金型→鍛造→切削まで社内一貫生産体制を確立している強みを活かし、両方の図面を同時に提出、ご承認を頂きました。これにより、鍛造後完了後、すぐに切削加工へ移行することができます。

金型の設計・製作を外注に委託している熱間鍛造会社ですと、発注から金型完成まで通常6週間かかりますが、当社では社内でスピーディーに対応。YASDA製ジグボーラーによって、上下金型を同時にダイレクトカッティングすることで、外注委託方式に比べ半分の3週間で仕上げる事ができました。

さらに、当社では金型材料のダイス鋼や、ワーク材料の黄銅棒等を在庫として一定量確保しているため、通常の都度発注では入荷まで1ヶ月かかる所を、待ち時間ゼロで加工に取り掛かることが可能です。

金型から切削までの社内一貫体制と在庫確保により、
通常より納期を約1/3に短縮するころが出来ました。

結果、鍛造金型の完成まで2週間、鍛造試作完了まで1週間、そこから1週間で切削試作品が完成。つまり、合計4週間で試作品を完成出来ました。

社内一貫体制と材料の在庫確保により、業界で一般的な工程と比較して、納期を約3分の1に短縮することに成功しました。