<実践>発注のための熱間鍛造ガイド

金属部品製造をお考えの製造メーカー担当者様に
熱間鍛造コンサルタントの德田勝也が、
今すぐ役立つ知識やノウハウを解説いたします。

<第12回>精度アップ 事例

精密金型と温度管理、そして
鍛造プレス機の活用ノウハウにより、
限りなく真円に近い黄銅部品製造を実現

給湯器部品の製造を行うにあたり、
熱間鍛造による高精度加工が必要でした

F社様は、給湯機器のメーカーです。
新製品の製造に当たり、高精度加工が必要となり弊社にご相談を頂きました。
この部品には円筒形状の部分があり、鍛造後、切削工程で同心の穴あけを行い、管状に仕上げる流れとなります。

「薄肉に仕上げるため、管の肉厚ができるだけ一定値になるよう、高精度加工をお願いしたい」
というご相談を、F社様から弊社へ頂きました。

それだけでも加工が難しいのですが、この部品は全長が150ミリ近くあるため、円筒部分全長にわたって径の真円度を維持するのはさらに高度な技術力を要しました。

業界最高クラスの精密金型を製造。
独自の熱間鍛造技術により高精度製造を行いました

そこで、中野鍛造所では、X方向の軸移動600mmに対し誤差は僅か0.004mm以内という、世界最高レベルの加工精度を誇るYASDA製/ジグボーラーを使用。独自の空調設備により室温を25℃±1℃に恒温化された環境で、誤差や歪みの無い高精度な金型製造を行いました。

部品全体が、非対称なL字形状をしているため、上下金型も通常のフラットではなく段下げのあるカギ型の形状とせざるを得ず、鍛造精度を出す上で不利でしたが、そうした厳しい条件下でも材料が金型内の隅々までスムーズかつ均一に伸びるよう、材料の投入量や温度・鍛圧等の調整を行いました。

0.04mm以内の最小加工誤差を実現。
限りなく真円に近い高精度加工が実現出来ました

円筒形の真円度は、方向を違えて2箇所の直径を計測することで推定できます。

円筒部分の直径は、2方向それぞれの計測値が「38.01mm」「38.04mm」となり、0.04mm以内の公差内に十分収まりました。限りなく真円に近い高精度加工を実現する事ができました。