<実践>発注のための熱間鍛造ガイド

金属部品製造をお考えの製造メーカー担当者様に
熱間鍛造コンサルタントの德田勝也が、
今すぐ役立つ知識やノウハウを解説いたします。

<第4回>一体化 事例

熱間鍛造により2個の部品を一体成形化。
切削・打抜・曲げ等の各種工程削減により、
30%に及ぶ飛躍的な製造コスト削減を達成

従来、工程が複雑で多岐にわたり、検査や運搬にも
多大な時間とコストがかかっていました

B社様は、電線の製造メーカーです。
従来、電線の端子を製造する際に、2個の部品をそれぞれの工程を経て製造、最終工程で組立てて一つの部品として完成させておられました。

その方法は次の通りです。
まず、電線の貫通穴がある筒状の「部品A」は、黄銅の丸棒を材料として切削・穴あけ加工を行います。 一方、部品をネジ止めするためのステーとなる「部品B」は、黄銅の板材を材料として打抜及び曲げ加工を実施。最後に両者を組み合わせ、接合部をカシメて固定することにより、部品を完成させていました。


しかし、この工法では、上図に示すように切削・穴あけに始まり、板材の打抜き・曲げ、そしてカシメによる組立まで、多数の工程が必要となります。
また、複数の専門加工業者の間で、半製品を運搬する必要があり、その都度検査と検収が必要になるなど、多大な製造コストがかかっていました。

熱間鍛造へ工法転換、ワンショット鍛造による
大幅な製造コスト削減を目指しました

そこで、中野鍛造所では、熱間鍛造による一体成形化をご提案。
従来の複雑な工程を一掃し、ワンショットでの鍛造を実現、製造コストの大幅削減を図りました。

この写真で言えば「上下」方向から金型で圧力をかけて鍛造を実施。ステー部の細く曲がった先端まで、欠陥のない成形を実現しました。

勿論、鍛造に最適化された製品形状へ設計変更を行っていますが、元の部品とほぼ同じ形状となります。

新たな工法では、鍛造後、ステーを他部品に固定させる接触面のみ、密着性を高めるため仕上切削を行いましたが、その他の部分は鍛造によって十分滑らかな面粗度を確保することができました。

製造コストを30%も飛躍的に削減。
品質向上により、検査工程も簡略化できました。

今回の鍛造化により、切削・穴あけ・打抜・曲げ・組立と多岐にわたっていた工程を、鍛造ワンショットに集約。飛躍的な工程削減により、鍛造後、仕上げの切削と穴あけを行うだけで部品完成となりました。

さらに、部品点数が2点から1点へ集約され、付随する検査や専門加工業者間の製品輸送、そして発注管理コストも大幅に削減。

その結果、製造時間が従来比20%短縮。製造コストにおいては、約30%もの飛躍的削減を実現することができました。