<実践>発注のための熱間鍛造ガイド

金属部品製造をお考えの製造メーカー担当者様に
熱間鍛造コンサルタントの德田勝也が、
今すぐ役立つ知識やノウハウを解説いたします。

短納期化

<第8回>強度アップ 事例

自動車整備用の器具を切削から鍛造に変更、
さらに、アルミ合金への熱処理を行うことで
従来比30%の強度アップを実現

従来のアルミ切削品よりもさらに強度アップし、
堅牢なマニホールドゲージに改良することが必要でした

D社様は、環境整備機器の部品メーカーです。
今回、当社で製造を行った自動車整備用の「マニホールドゲージ」とは、車載エアコンの配管に繋いで、冷媒となるフロンガスの圧力を測るバルブのことです。また、フロンガスの充填や、引抜を行う際にも使用される器具です。

D社様では、
「自動車整備工場等、プロフェッショナル用の器具として、従来の黄銅・切削品よりも高い耐圧性・耐久性を実現したい」
と、より高強度を得られる鍛造への変更を考慮し、設計段階から弊社へご相談を頂きました。

複雑な形状でしたが、当社独自の鍛造技術により、
高精度・高強度を実現することができました

こちらが、弊社から納入させていただいたマニホールドゲージのボディーです。

カーエアコンのフロンガスには、低圧と高圧の2系統があるため複雑な構造をしており、加工の難しい部品と言えますが、中野鍛造所独自の鍛造技術により、高精度かつ高強度で仕上げることができました。 最終的に、本部品は鍛造成形後、熱処理を行って強度を高めた上で、切削加工により貫通穴を開け、完成させました。

アルミ合金に「T6」熱処理を行うことで、
強度を約30%向上させることができました

本部品では、強度の高い6000番台の構造用アルミ合金を使用しました。 6000番台のアルミ合金は、シリコンとマグネシウムを含有しており、5000番系のアルミニウムよりも耐食性と強度において優れています。

これに「T6処理」(時効効果処理;溶体化処理後、焼戻し)を行うことで、高い強度を実現することができました。

結果、従来のアルミ切削品に比べ、約30%の強度アップを実現することができました。

短納期化