<実践>発注のための熱間鍛造ガイド

金属部品製造をお考えの製造メーカー担当者様に
熱間鍛造コンサルタントの德田勝也が、
今すぐ役立つ知識やノウハウを解説いたします。

短納期化

<第1回>コスト削減 工法解説

金属部品の製造を、鋳造から熱間鍛造へ変更する事により、「強度問題の解消」と同時に、
コストを大幅に削減させる方法を解説いたします

その①:強度アップと同時に部品の減材料化を図るコスト削減方法について

1つ目は、強度アップにより、従来部品を減材料化(省材料化)させるコスト削減方法です。

現在鋳造により製造を行っている現行部品を鍛造部品へ変更する事により、材料の粘り強さ(靭性)が高まるため、確実に強度をアップさせる事が出来ます。

強度がアップした分、従来の鋳造部品より部品の厚みを薄くする(薄肉化)等の設計見直しにより、材料費の削減が可能になり、部品製造コスト削減を容易に実現できます。

尚、すでに量産を行っている既製部品の場合でも、部品形状により性能を維持させながら材料費の削減が可能です。新規開発部品の場合は、設計段階でこのような方法を鍛造加工メーカーに相談する事で、材料量を少なくする事が可能な部品形状について有益なアドバイスが得られ、大幅なコスト削減を実現することが可能です。

その②:分離発注から一括発注に切換えるコスト削減方法について

2つ目は、工程別に各加工メーカーへ発注を行う「分離発注」から、1社への「一括発注」へ切換えるコスト削減方法です。

鍛造は鍛造加工メーカーへ、切削は切削加工メーカーへ、そして、メッキはメッキ加工メーカーへ…という様に、1つの部品を製造工程別に発注するのが「分離発注」ですが、この場合は別途下記の間接コストがかかります。

(1) 自社と各加工メーカーの間で、部品の運搬にかかる「運搬コスト」
(2) 各加工メーカーからの納入品をチェックする「検査コスト」
(3) 発注した各部品が、今どこで、どういう状態にあるかを管理する「発注管理コスト」

製造コストを見るだけでなく、この様な煩雑な業務に実際、表面的に解りづらいコストがかかっています。これら、見えない間接コストは、一貫生産を行っている加工メーカーへ「一括発注」を行う事で、下記のように解消可能です。

(1) 運搬コストはもちろん、運搬に掛かっていた時間も不要となり、納期も短縮。
(2) 一社が最終品質に責任を負うため、各メーカーから納入された中間部品の個別検収が不要。
(3) 一社に発注管理を任せることで、自社の業務負担がゼロ。

一括発注に切換える事により、製造メーカー様はこれまで掛けていた煩雑な管理業務から解放され、その結果、間接コスト、人件コストの大幅な削減が可能となります。

その③:精度向上により、不良率を激減させるコスト削減方法について

3つ目は、部品の精度向上により、不良率を激減させ、コスト削減を図る事です。

部品の寸法精度が高ければ、接続する周辺部品との組立(篏合)がスムーズとなるため、製造効率が高まり、不良品が発生しない分、コスト削減につながります。一般的な話を伺うと、アジア諸国の生産の鍛造部品の場合、約3割の不良品が発生しており、中野鍛造所ではそれらを実質ゼロ%(0.00001%)まで改善させた例があります。

そして、鍛造精度が高まれば、二次加工の精度も同時に高める事が出来るため、不良率を激減させることが出来ます。例えば、部品を切削マシンにセットする際、高精度で固定できるため穴あけ等の精度が向上。また、鍛造により部品表面の滑らかさ(面粗度)を高めることで、表面処理の仕上りが良くなり、不良率が改善します。

このように、不良率の改善を図る事により返品率が激減。結果、大幅なコスト削減を実現させる事が可能です。

まとめ:施策を同時に行う事で、20~30%の大幅なコスト削減が可能

以上、3つの施策を同時に行う事で、20~30%の大幅なコスト削減が可能となります。

それぞれ単独の施策では、あまり大きなコスト削減効果は期待できません。大幅なコスト削減を求める場合は、これら3つの施策を同時に実行することを検討してみて下さい。

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