【事例】鋳造から鍛造への変更により、工程を削減。トータルコストダウンに成功した実例

品質向上

今回は、鋳造から鍛造へ工法転換することで、品質向上とトータルコスト削減に成功された事例をご紹介しましょう。

■ お客様は鋳造品質への不満から、鍛造化を検討されました

こちらの真鍮製の大型電気端子は、従来、鋳造で製造されていたものですが、お客様は次のような課題を抱えておられました。

  • 強度不足により割れや折損を起こすケースがあること
  • 個々の製品の品質が安定せず、歩留まりが良くないこと

そして、そして、差し迫った大問題として…

  • 従来の発注先の鋳造加工会社が、技術者の高齢化により廃業することとなった

ことがあり、新たな発注先を探さざるを得なくなったということです。

「ならば、この際、鋳造以外の工法も検討しよう」

というわけで、熱間鍛造を得意とする弊社にご相談いただいたのでした。

そこで、私徳田としては、

「せっかくですので、鍛造化はもちろん、前後の工程にも着目してトータルコストダウンを実現しましょう」

と、さらに一歩踏み込み、お客様にメリットのある提案をさせていただきました。

■ 鍛造による薄肉化で、製品重量の約10%削減を達成できました!

では、先に結果から見ていただきましょう。

こちらは、従来の鋳造品と、弊社による鍛造品を比較した写真です。

上が従来の鋳造品で、下が弊社による鍛造品です(どちらも材料は黄銅ですが、鋳造品はクロムメッキ処理後、鍛造品は処理前のものとなります)。

一見してわかるのが、形状の違い。鋳造【上】に比べて、鍛造【下】はかなりスマートですね。

鋳造の場合はこれぐらい肉厚でないと強度が出ませんでしたが、鍛造なら強度が増す分、薄肉化が可能となります。結果、製品重量の約10%削減を達成することができました。

■ 鍛造では、鍛造より滑らかに表面が仕上がります

そして、二つ目の違いが、鋳造品の表面に現れているアバタ状の粗いザラツキです。

この「鋳肌(いはだ)」と言われる特徴は、多かれ少なかれ鋳造品【写真左】では避けられません。そこで、鋳造後に少しでも滑らかになるよう、従来品では「バフ研磨」を行っいたのですが、いくら削っても内部から細かい空洞(す)が表面に浮き上がってくるため、結局ツルツルにはなりませんでした。

一方、鍛造品【写真右】では、プレス機で打ち終わった段階で、すでに表面ははるかに滑らかに仕上がっていることがわかります。

■高コストなバフ研磨工程が不要になりました!

バフ研磨は人手で行うため非常にコストがかかるのですが、それを行う必要がなくなりました。

さらに、バフ研磨に付随する検査はもちろん、工場間の製品輸送や発注管理コストも削減。

バフ研磨工程を削減したことにより、約15%ものトータルコスト削減を実現することができました。

■鍛造なら、科学的手法により品質を安定させることが可能です

鋳造は、その日の温度・湿度等によっても品質にバラツキが生じるほどデリケートで、扱いの難しさがあります。

例えば、夏と冬ではシャワーの温度調整が必要な様に、鋳造における溶湯の“湯加減”も季節による調整が欠かせず、鋳型となる砂の湿度も仕上がりに影響を及ぼします。このように複雑な要因が絡み合うため、製品1個1個の精度は技術者の勘と経験次第というところがあります。

一方、鍛造は、精密な金型設計・製作、最適な径・長さの材料の投入、プレス時の適切な温度管理等を追い込んでいけば再現性は高いと言えます。つまり、科学的な手法により、品質のバラツキを抑え込めることが、鍛造の利点と言えるでしょう。

■ 鍛造エキスパート・徳田からのアドバイス

というわけで、今回は、鋳造から鍛造への転換にあたっては、前工程・後工程も含めたトータルで考えると大きなメリットを実現できるというお話でした。

しかし、特に大きな会社様ですと、セクションごとのコストダウンに捉われてしまい、工程全体を俯瞰した「トータルコストダウン」が難しいケースも多々拝見してまいりました。もし、従来のコストダウン手法に限界を感じておられるなら、組織横断的なプロジェクトを組んでマクロな視点からコストダウンを検討されるのも一案です。きっと、大きな成果を得られることでしょう。

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