【ハウツー】鍛造により複数部品を一体化し、コスト削減を実現する方法

鍛造について

現在、金属部品の製造コスト削減を目指し、「工数削減」に取組まれている担当者様も多いことでしょう。「鍛造ワンショットにより、複数部品を一体化」(以下、鍛造一体化)することができれば、大幅な工数削減が可能となります。

そこで今回は、鍛造一体化のメリットと、その際に注意すべきポイントについて解説いたします。

■ 鍛造一体化とは?

例えば、複数の部品にそれぞれ切削加工を施し、溶接やロウ付け、カシメ等により製品を完成させている場合があります。これを鍛造により一体化加工することで、切削・組立工程が一切不要となり、大幅な工程削減を実現することができます。

■ 鍛造一体化のメリットとは?

複数部品の鍛造一体化により、次のようなメリットが得られます。

工程削減を実現できる

切削・組立工程の削減はもちろん、各検査工程も削減でき、スピーディーで効率的な生産が可能となります。

材料費や部品点数を削減できる

切削加工では、形状により金属屑が大量に発生することがありますが、鍛造は材料ロスが少なく、省材料化を実現できます。また、ステーやリベット等も不要となり、部品点数も削減できます

継目を無くせる

例えばバルブ等では、溶接による継目の部分で流体が漏れるリスクがありますが、鍛造によりボディとフランジを一体化成形することで漏れが事実上ゼロとなるのも、大きなメリットです。

■鍛造一体化のポイント

鍛造一体化を検討する際には、あらかじめ次のポイントをチェックし、必要に応じて対策を講じておきましょう。

後工程への影響

鍛造を行った時点で、ワークが大型化・複雑形状化するため、後工程で切削や研磨等の工具が入りにくくなり、加工が難しくなるケースがあります。

鍛造生産性への影響

大型部品の鍛造には、大型のプレスマシンが必要となるため、通常サイズの鍛造と比較して最大3~5割程度生産性が落ちる場合があります。もちろん、工程削減等それを大幅に上回るメリットが得られるはずですが、一応留意しておきましょう。

最も重要な要素である公差の検討

鍛造一体化における最重要ポイントは、公差(要求精度)の検討です。特に設計上の意図なく、シビアな公差設定を行っているケースもしばしば拝見します。各部の公差について、「なぜそれだけの加工精度が必要か」「逆にどこまで許容できるか」を突き詰めることで、切削を工程を無くすことができ、鍛造一体化のメリットを最大限享受することが可能となります。

■ 鍛造一体化で注意すべき点

鍛造一体化により、ワークが大型化するため、材料となる丸棒も大直径のものが必要となります。そこでコスト計算の際に注意すべき点が、「増値」の存在です。

増値とは

非鉄鍛造の材料となる黄銅(真鍮)やアルミニウムの丸棒ですが、基本的には「単価×重量」で材料費が算出されます。しかし、特に直径の大きな丸棒には、「増値」と呼ばれる追加料金が適用され、同じ材質の中径棒に対して直径が大きいと少々割高になります。

■ 鍛造エキスパート・徳田からのアドバイス

このように、鍛造一体化には、プラス・マイナス両方のコスト要因が絡んでくるため、鍛造加工業者には、幅広い知識と経験、技術力が必要になります。メリットはもちろん、デメリットもすべて洗い出し、トータルコストがマイナスになるよう工程設計を行わなければなりません。

従来、出来上がった製品図面に対して、最適な工法をトライしていくというのが、われわれ鍛造会社の仕事のやり方でした。しかし、そもそも鍛造に適していない製品形状や、必要以上にシビアな公差、また、「良かれ」と設計した除肉や抜け勾配が裏目に出るケースもしばしば拝見してまいりました。

今後、クライアント様が大きなコストメリットを得るためには、小手先の改善ではなく、製品設計段階から鍛造の専門家が参画することが、根本的な解決策になるのではないでしょうか。これにより、鍛造一体化による工程削減や省材料化といった大きなメリットを実現できるはずです。

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