「鋳造」部品から「鍛造」部品へ変更して、コストダウンを可能にする方法

鍛造について

現在、鋳造製の金属部品を使用している企業様では、コストや品質面でお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、鋳造部品を鍛造部品に変えるメリットについて、分かりやすく解説します。

■ 鋳造とは?

まず、「鋳造」と一口に言っても様々な工法のバリエーションがありますが、基本的には、金属材料を高温で溶かした液(溶湯)を型に流し込み、冷えた時点で取出し成形する金属加工方法です。型の種類は、最も一般的な砂型のほか、石膏や炭素鋼等(ダイキャストの場合)等があります。

これに対し、「鍛造」とは、金属材料を金型で挟みプレス機で圧力をかけて成形する工法です。

鋳造の原理/鍛造の原理

■ 鋳造のメリットとは?

鋳造のメリットとして、次のような点が挙げられます。

◎複雑形状の成形が可能

溶かした金属を鋳型に流し込むだけで、複雑な形状も一気に成形することができます。

◎大型部品の成形や、量産も可能

鋳型さえ作ることができれば大きな鋳造部品も成形でき、1つの鋳型で数万個の鋳造部品を生産することも可能です。

◎省材料化

切削加工では、部品を創成する場合、形状によって金属屑が大量に発生することがありますが、鋳造では材料にムダがなく、省材料化を図ることも出来ます。

■鋳造のデメリットとは?

その一方で、鋳造には次のようなデメリットもあります。

◎製品品質が不安定

型に流し込んだ金属が冷えて固まる際、体積が収縮するため、表面に割れやへこみができたり、内部に「す」と呼ばれる空洞が発生したりすることがあります。また、金属を型に流し込む際にガスを巻き込むことで、製品内部にブローホール(空洞の一種)が発生するケースもあるなど、ロット全品にわたって安定した品質を保つことが難しい部分があります。

一見順調に製造にできているようで、実は品質基準を下回る不良品も多く、「歩留まり」が悪化し、追加製造を余儀なくされるケースも多々拝見してきました。

鋳造部品においては、品質にバラツキがあるため、例えばバルブを鋳造で製造する場合、全数の漏れ検査を行う必要が生じ、工数が増える結果、コスト増加の要因となります。

(※「歩留まり」とは…製造工程へ投入した材料に対し、出来上がった良品が占める量の割合を指します)

表面に荒れが生じる

鋳造のもう一つのデメリットとして、砂型の場合、砂の粒子サイズによって製品表面に荒れが生じることがあります。

粒子が粗い砂型を使えば、ガスの抜けが良くなり内部に発生する「す」(空洞)は少なくなりますが、製品表面が荒れます。逆に、粒子が細かい砂型を使えば、製品表面は滑らかになりますが、ガスの抜けが悪く内部に「す」(空洞)が生じやすくなります。

したがって、品質と美観の両立を図るには、粒子が粗い砂型で鋳造を行った後、切削や研磨により表面を滑らかに仕上げる必要があります。

■ 鍛造なら、様々な課題を解決することが可能

今このような「鋳造製」部品のマイナス要因は、「鍛造製」に転換することで解決できます。

「す」(空洞)が発生しない

まず、鍛造ではプレス機により高圧で金属材料を押しつぶして成形するため、原理上、鋳造のような「す」(空洞)は発生しません

◎鍛流線が形成され、強度が向上

た、高圧をかけることにより、方向の揃った金属結晶組織(※これを「鍛流線」「メタルフローライン」と呼びます)が形成されるので、製品の強度が大幅に向上します。

鋳造部品の金属組織/鍛造部品の金属組織

例えるなら、鋳造はお茶碗にふわっと持ったご飯で、鍛造は臼と杵で突き固めたお餅のように粒子が詰まっていて粘りがあります。

強度が増す分、製品形状の薄肉化や中空化も可能となり、結果、投入する材料を減らすことができます(省材料化)。その分、鍛造においても材料コストを大幅に削減することが可能です。

検査や仕上工程を削減できる

鍛造なら、同一形状の製品を一定品質で大量に生産できるため、必ずしも全数検査を行う必要はありません。各ロットの打ち始めに確認を行い、途中で抜取検査(サンプル検査)を行うだけで、製品性能を十分保証できるケースが多いでしょう。

また、鋳造では表面仕上げが必要な製品も、鍛造なら打ちっぱなしでも比較的滑らかに仕上がるため、切削・研磨工程を省略することも可能となります。

◎歩留まり(出来高率)が大幅に向上し、生産効率がアップ

品質が安定するため、歩留まり(出来高率)が大幅に向上し、計画的な生産が可能となります。複数の案件に対して最適なタイミングでマシンを稼働することができるため、工場全体の生産性がアップし、コスト削減が実現できます。

■ 鍛造エキスパート・徳田からのアドバイス

このように、鋳造は比較的安価で簡単に製品を量産するのに向いていますが、精度や強度を求めるならば鍛造が有利になります。

コスト面で見ると、確かに鍛造用金型は鋳造用砂型に比べて多少高価になりますが、逆に量産により製品1個あたりの製造コストは低くなり、早期に回収できます。また、鍛造ならば、薄肉化・中空化することで材料費を削減することが可能です。

製造コストの削減を図るには、材料費だけでなく、歩留まりや検査・切削等の工程削減、生産性向上等の全体的な観点で見た「トータルコスト」について検討されることをおススメします

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